時短勤務を導入するメリット・時短勤務の対象になる従業員の例を紹介

時短勤務とは、通常8時間の所定勤務時間を6時間に削減するといった働き方です。時短勤務を導入することにはさまざまなメリットがある一方、時短勤務の導入時に注意すべきポイントもいくつかあります。本記事では、時短勤務に関して深く掘り下げて解説をしていくので、ぜひご一読ください。

時短勤務導入のメリット

時短勤務を導入することには、従業員と企業双方にとって多くのメリットがあります。

以下に、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

モチベーションの維持

時短勤務は、育児や介護を担っている従業員にとって大きな助けとなります。

核家族化が進む現代では、共働き世帯が増加し、家庭での負担が増しています。とくに育児や介護を抱える家庭では、フルタイム勤務を続けることが困難です。

時短勤務の導入により、従業員は仕事と家庭のバランスを取りやすくなり、結果的に仕事に対するモチベーションを維持しやすくなります。仕事に対する意欲が高まることで、企業の生産性向上にもつながるでしょう。

ワークライフバランスの実現

時短勤務を導入することで、従業員はプライベートの時間を確保しやすくなります。

育児や介護の時間を確保するだけでなく、仕事以外の時間も充実させられます。これにより、仕事と私生活のバランスが改善され、ワークライフバランスの実現が可能です。プライベートの充実は、仕事へのやる気にも良い影響を与えます。

リフレッシュできた心身は、仕事に対する新たなエネルギーとなり、より効率的に働けるようになるでしょう。

離職の防止

時短勤務の導入は、離職を防ぐための有効な手段です。

とくに育児や介護を抱える従業員は、仕事の継続が難しくなることが多く、結果として離職の原因となる場合があります。女性は出産後にキャリアを続けることが難しく、離職するケースが多く見られます。

しかし、時短勤務制度が整っていると、出産後の早期復職が可能となり、キャリアを中断せずに済むのです。また、親の介護が必要になる世代でも負担の軽い職種への転職や早期退職を避けられるため、継続して仕事に取り組むことが可能になります。

このように、時短勤務は従業員の離職を防ぐだけでなく、企業にとっても貴重な人材を長期間維持するための重要な手段となります。

時短勤務の対象となる従業員の例

時短勤務は育児や介護を目的とした制度で、対象となる従業員にはいくつかの条件が設けられています。

ここでは、時短勤務の対象となる従業員の具体的な4パターンについて詳しく解説します。

3歳未満の子供がいる

育児を理由に時短勤務を希望する場合、対象となる条件のひとつは3歳未満の子供がいることです。

この条件に該当する場合、育児に対する配慮として時短勤務が適用されます。ただし、時短勤務は基本的に1日の所定労働時間を6時間以下にすることが求められます元々の所定労働時間が6時間以下である場合には、時短勤務は適用されないことに注意が必要です。

育児休業をしていない

時短勤務の対象としてもうひとつの条件は育児休業をしていないことです。

育児休業は、女性が出産後に産休を終えた後子供が1歳になる前日まで取得できる制度で、男性も1年間の育児休業を取得できます。育児休業中は育児休業給付金を受け取れるため、経済的な負担を軽減しながら育児に専念できます。

しかし、育児休業中に時短勤務を利用することはできません。つまり、時短勤務は育児休業をせずに勤務している場合に適用されます。

1年以上の雇用

時短勤務の適用には1年以上の雇用が条件となる場合があります。

この条件は企業側が設定できるものであり、企業の就業規則や協定に記載されているかどうかがポイントです。1年以上の雇用とは、企業での継続的な雇用を意味し、短期の雇用契約や日々雇用される従業員は対象外となります。

これにより、企業側は一定の雇用継続性を前提に時短勤務を認められます。

介護によるもの

時短勤務は育児だけでなく、介護を理由に利用することも可能です。

介護が必要な家族に対して2週間以上にわたって常時介護を行う場合には、時短勤務を利用できます。具体的には、連続して3年以上の期間で2回以上の時短勤務が認められます。介護のために実施できる時短勤務の形態に、所定労働時間の短縮、フレックスタイム制度、時差出勤などです。

また、介護サービス費用の助成も受けられるため、介護にともなう負担を軽減するための支援が提供されます。

時短勤務を導入する場合に注意するべきこと

時短勤務を導入する際には、以下の点に注意が必要です。

まず、対象の従業員に対して、時短勤務による基本給の減額や不当な評価による給与の減少は禁じられています。従業員が不利益を被らないよう、給与の取り扱いや評価の基準について明確なルールを設定し、事前に従業員に周知しておくことが重要です。

また、取得を希望する従業員とは積極的にコミュニケーションを取り、手続きや制度について丁寧に説明することが求められます。従業員が安心して時短勤務を利用できる環境を整えることが、制度の円滑な導入につながるようになります。

まとめ

時短勤務の導入は、育児や介護を支援するための効果的な制度であり、従業員と企業双方に多くのメリットをもたらします。育児や介護に対応することで、従業員は仕事と家庭のバランスを取りやすくなり、モチベーションの維持やワークライフバランスの実現が可能になります。さらに、離職を防ぐ手段としても有効です。ただし、時短勤務を導入する際には、給与の取り扱いや評価の基準について明確なルールを設け、従業員に丁寧に説明することが重要です。こうした配慮を行うことで、制度の効果的な運用と従業員の安心感を確保できるようになります。