働き方の多様化により、フレックスタイム制を導入しようか迷っている企業もあるでしょう。フレックスタイム制は従業員が始業・終業時間を決定することでライフスタイルに合わせて働き方ができる点がメリットですが、勤怠管理が難しいことがデメリットです。では、フレックスタイム制を導入した場合、勤怠管理はどうしたらよいのでしょうか?
フレックスタイム制って何?導入のメリットとは
フレックスタイム制とは、簡単にいえば従業員が自分で始業・終業時刻を決定できる制度です。設定された総労働時間を守れるよう調整しながら働くことで、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
たとえば、朝子どもを保育園や幼稚園まで届けている人であれば、子どもを見送った後で余裕をもって仕事を始められるでしょう。
プライベートと両立できる
「労働時間は変わらなくていいから、出勤時間や退勤時間を変えたい」と考えたことはありませんか?たとえば定期的な通院が必要な場合、9時から18時までのフルタイムで働いていては平日に病院に行けません。土曜は患者も多いほか、予約制の病院ではなかなか予約が取れないこともあります。
そこで活用できるのがフレックスタイム制です。始業時間を遅らせるか、始業時間を早めれば病院の受付時間内に通院できます。
残業した次の日は遅く出勤できる
時期によって残業が集中する職種があります。たとえば事務職であれば年末調整や決算期、月末などです。出版社であれば、原稿締切日は日付が変わるくらいの時間まで残業が必要なこともあります。こうして残業する場合、次の日に定時通りに起きて出勤するのはなかなかつらいでしょう。
しかし、フレックスタイム制なら、残業した次の日はゆっくりと出勤できます。終業から次の始業までに充分な休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」もよいですが、より自由度を高めたいのであればフレックスタイム制がおすすめです。
導入には課題も…フレックスタイム制のデメリット
フレックスタイム制は従業員の出勤・退勤の自由度が高くなりますが、それゆえのデメリットも発生します。たとえば業務や職種によっては導入がしづらい、スケジュールが把握しづらいなどです。
業務や職種によっては導入しづらい
店頭スタッフであれば営業時間が決まっています。店舗が独立していればある程度営業時間は前後してもよいかもしれませんが、デパートや複合施設に入っている店舗ではそうはいきません。営業時間内に必ず誰かがいなければならない業務であれば、フレックスタイム制は導入しづらくなります。
また、取引先の都合で動くことが多い職種であれば、自身で始業・終業時間を決定できません。そうすると導入するメリットもなくなるほか、取引先から「あの会社はフレックスタイム制だからいつでも対応してくれる」と勘違いされてしまうこともあります。
従業員のスケジュールが把握しづらい
自分で始業・終業時間を決められるのは従業員にとってメリットですが、会社にとってはデメリットになります。スケジュールが把握しづらくなるためコミュニケーションも取りづらく、会議の調整も困難になるでしょう。
フレックスタイム制導入後の勤怠管理の方法
フレックスタイムならではのメリット・デメリットがありますが、導入後はどのようにして勤怠管理をすればよいのでしょうか?
就業規則等で定める
常時10人以上の従業員を使用する事業場では、就業規則の作成義務があります。新しい制度を導入するには、就業規則等で定めることが必要です。始業と終業時刻の決定を、労働者にゆだねる旨を定めましょう。10人未満であれば作成義務はありませんが、書面にして従業員に周知する必要があります。
労使協定を締結する
就業規則等で定めた次は、労使協定を締結しましょう。「対象となる労働者の範囲」「清算期間」「清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)」「標準となる1日の労働時間」の4つの事項について定めるほか、コアタイムとフレキシブルタイムも任意で締結可能です。
精算期間が1か月を超える場合は、所轄の労働基準監督署に「清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制に関する協定届」を届け出ましょう。届け出に必要な書類は、パソコンで簡単にダウンロードできます。
任意でコアタイムとフレキシブルタイムも設定する
コアタイムとフレキシブルタイムも設けたいのであれば、労使協定を締結するタイミングで設定しましょう。定期的に会議やミーティングをする必要があれば、コアタイムの設定がおすすめです。どちらを設定する場合でも、開始時刻と終了時刻を定めましょう。
まとめ
フレックスタイム制を導入したい企業に向けて、メリットやデメリットを紹介しました。始業・終業時間を自由に決められるフレックスタイム制は、ライフスタイルと両立できるなど従業員にとってはメリットが大きい制度です。
しかし、会社にとっては勤怠管理が難しくなる、業務や職種によってはメリットがないなどのデメリットもあります。導入する際は、どの労働者に対してメリットがあるのか、勤怠管理はどのようにするか決めたうえで決定しましょう。
フレックスタイム制を利用できない従業員に対しては、不満が募らないよう待遇や福利厚生の工夫が必要です。
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引用元:https://lookjob.jp/
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