働き方改革のなかの大きな目標のひとつとして、社員の残業時間の削減があります。しかし、これまで慣例として長時間の残業が常態化している企業にとって、この取り組みはハードルが高いものです。そこで今回は、残業時間を削減するメリットや具体的な取り組みの例、残業時間削減に関する失敗例を紹介していきます。
残業時間を削減するメリット
残業時間を削減する目的には、主に生産性の向上、従業員の健康維持が挙げられます。
企業が従業員の能力を最大限に引き出すためには、彼らが健康で働ける環境を整えることが重要です。限られた人数のなかでどれだけ生産性を向上させるかが、企業にとって大きな課題となります。
生産性の向上
まずは、生産性の向上についてです。
残業時間を削減するため、一日に取り組める業務時間が制限されます。この制約のなかで、1時間あたりの業務効率を高める必要が出てきます。残業を前提とした働き方では、時間に余裕があることでかえって業務効率が低下することが少なくありません。
したがって、残業時間の削減は既存の業務のやり方を見直し、業務の効率化を促すきっかけとなります。これにより、組織全体の生産性向上が期待されます。
従業員の健康維持
次に、従業員の健康維持についてです。
長時間の時間外労働は、従業員のストレスや疲労を蓄積させ、翌日の業務に悪影響を与える可能性があります。残業時間を削減することで、従業員は早く帰宅して十分な休息を取り、ワークライフバランスを改善できます。
これにより、気分転換や趣味に時間を割けるため、心身の健康を保ちやすくなるでしょう。さらに、長時間労働が続くと身体的な疲労だけでなく、精神的な不調を訴えるケースも増えます。精神的な不調は、結果的に離職の原因にもなり得ます。
残業時間を削減するための具体的な取り組み
残業時間を削減するための具体的な方法として、以下の12の取り組みが挙げられます。
労働時間目標を決める
退社時間を明確に設定し、業務をその時間内に終えることを目標にします。
残業が習慣化している場合は、業務時間内でタスクを完了させる意識をもつことが重要です。チーム全体で協力し、就業時間内に終わるように業務を計画し、優先順位を付けて作業を進めることが求められます。
仕事量を見直す
業務量が勤務時間内に終わらない場合や、業務内容が担当者のスキルに合っていない場合は業務の見直しが必要です。
定期的な会議を削減したり、書類をクラウドで共有することで効率化が図れるでしょう。また、人手不足の部署では業務量の再評価やアウトソーシングも検討するべきです。
業務内容を見直す
業務内容やプロセスを見直しして、不要な作業を削減します。
業務を標準化し、マニュアル化することで、作業の効率が向上し、残業を減らせます。
業務内容を共有する
業務内容をチーム全体で共有することで、業務連絡や確認作業の時間を短縮します。
クラウドサービスを利用して情報をリアルタイムで共有すれば、業務の停滞も防げるでしょう。
残業を事前申請する
残業の事前申請を義務付けることで、上司が残業の必要性を把握しやすくなり、調整が可能になります。
事前に申請することで、時間の有限性を意識し、残業を減らす努力が促されます。
ノー残業デーの実施
残業しない日を設定することで、定時で帰る意識を促進します。
社内全体で同じ日に設定することで、他部署との連携も保ちながら残業時間を削減することが可能です。
ツールを使用し業務を効率化する
効率化ツールを導入し、業務を自動化します。
たとえば、勤怠管理やタスク管理のソフトウェアを活用することで、業務の効率化や情報の迅速な共有が実現可能です。
1人に集中した業務の改善をする
特定の従業員にタスクが集中しないように、業務を分散させます。
業務をマニュアル化し、誰でも対応できる状態にして負担を軽減しましょう。
プロジェクト管理を徹底して負荷を分散する
プロジェクトの計画やリソース管理を見直し、負荷を分散します。
プロジェクトのスケジュールやリソースを適正化することで、業務負荷を軽減可能です。
残業時間の見える化
残業時間を可視化することで、従業員が自分の残業時間を意識しやすくします。
残業チケットの導入や、クラウドツールによるグラフ表示などが有効です。
ボトルネックで意見を吸い上げる
現場の問題点や業務のムダを把握し、改善策を講じます。
従業員からの意見を集めたり、第三者の視点を取り入れることで、意外な改善点が見つかる場合もあります。
顧客を巻き込み効率化する
顧客や取引先と書類のフォーマットを統一することで、書類のチェックや処理時間を短縮します。
これにより、双方の業務効率が向上し、残業の削減につながるでしょう。
残業時間の削減に関するよくある失敗例を紹介
最後に、残業時間の削減におけるよくある失敗例を紹介します。
以下のポイントに注意して、残業時間の削減に取り組んでみてください。
強制的に残業なしの施策を推し進める
残業削減の施策を強制することはおすすめしません。
業務内容や業務量の見直しが不十分な場合、表面的な結果に終わることがあります。たとえば、残業禁止の日を設けるだけでは、業務量が変わらないまま従業員が自宅で仕事を続けたり、休憩時間を業務に充てる可能性があり意味がありません。
効果的な残業削減には、業務のムダを省き、業務内容を根本から見直す必要があります。業務の効率化や業務量の適正化が行われていなければ、残業時間を減らしても根本的な解決にはなりません。
社員が受け入れていない
残業時間削減の取り組みが突然始まると、従業員のなかには受け入れに難色を示す人もいます。
成果を上げるには残業が必要・残業していると仕事をしている感じがすると考える人がいると、残業削減の取り組みが浸透しにくくなります。逆に自分だけ早く帰れば良いと考え、業務が残っていても手伝わずに帰るケースも発生するかもしれません。
これを避けるためには、部署内でのコミュニケーションを強化し、全員が協力して定時で帰るためのチームワークを作ることが重要です。
具体的な対策が取られていない
単に残業時間を削減しようという目標を掲げるだけでは不十分です。
具体的な対策がないと、従業員はどのように取り組むべきか分からず、かえって業務が非効率になることもあります。たとえば、具体的な方法やツールの導入、業務の効率化策を提示し、管理者から積極的に提案することが求められます。
まとめ
残業時間を削減することで、企業は生産性を向上させるとともに、従業員の健康を守れます。生産性向上は、限られた時間内で業務効率を高めることにつながり、長時間労働を前提としない新たな働き方を促進可能です。一方で、健康維持には、ストレスや疲労の蓄積を防ぎ、ワークライフバランスを改善する効果があります。具体的な取り組みとしては、業務の見直しや効率化ツールの導入、ノー残業デーの設定などが有効です。しかし、強制的な施策や社員の受け入れが不十分だと失敗する可能性があるため、適切な対策とコミュニケーションが鍵となります。
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引用元:https://lookjob.jp/
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