10分前出勤は勤務時間に含まれる?勤務時間と見なされる例も合わせて紹介

公開日:2024/12/15

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ひと昔前は早めに出勤して始業時間には業務を始められるように準備しておくべきという考え方がスタンダードでした。しかし、現在においては勤務時間は業務時間に含まれないため時間的拘束を課すのは不適切という考え方も広まりつつあります。そこで今回は、いわゆる10分前出勤が法律上どのように扱われているのか解説します。

10分前出勤の法律上の扱い

まずは、10分前出勤の法律上の扱いについて見ていきましょう。

労働基準法における労働時間

労働基準法における労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間を指し、従業員が雇用主からの指示にもとづいて業務に従事する時間を指します。

労働時間の定義は一見明確ですが、実際の業務においては判断が難しい場合があるので注意が必要です。たとえば、就業規則に明記されていないが、職場の慣行として勤務時間外に行うべき作業がある場合が挙げられます。

出勤時間と始業時間の違い

出勤時間と始業時間という言葉も混同しがちですが、これらには明確な違いがあります。

出勤時間は従業員が職場に到着した時間を指し始業時間は使用者の指揮命令下に入って業務を開始する時間を意味します。これらを混同してとらえてしまうと労働時間の管理に支障をきたすため、注意が必要です。

10分前出勤は雇用主の指示や業務の強制性によって扱いが変わる

10分前出勤が労働時間とみなされるかどうかも、雇用主の指示や業務の強制性があるかがポイントになります。

たとえば就業規則で規定されている、あるいは朝礼やミーティングが就業時間前に行われるなど、強制性が認められる場合は労働時間とみなされ賃金の支払いが必要です。

このように、労働時間の判断はさまざまな要素を考慮しなければならないため、雇用者と労働者の間での理解と共通認識が重要です。

10分前出勤が勤務時間として扱われる事例

次に、10分前出勤が勤務時間として扱われる事例を見ていきましょう。

準備・後片付け

まず、始業前や終業後の準備行為や後片付けが挙げられます。

これらは、雇用主からの指示にもとづいて行われるものであれば労働時間とみなされます。たとえば、指定された制服に着替えたり、職場内の清掃を行ったりする時間は該当しやすいです。

これらの行為を指定の場所で行うことが求められる場合には、雇用主の指示による義務的な行為とみなされやすくなります。

手待時間

次に、手待時間も労働時間として認められます。

手待時間とは、作業を行っていないが、雇用主からの指示があれば即座に対応できるよう待機している時間のことです。具体的には、顧客が来店するまでの待機時間や夜勤における仮眠時間、昼休み中の電話応対、来客対応などの時間が該当します。

このような時間は雇用主の指揮命令下にあるため、労働時間とみなされます。休憩時間として賃金を支払わないためには、その時間を従業員の自由に使えることが条件です。業務対応のための拘束がある場合は手待時間として労働時間に該当する可能性があります。

研修・教育訓練

最後に、業務後の研修や教育訓練の受講時間も労働時間に含まれる場合があります。

研修や訓練への参加を義務付けられている場合、その時間は労働時間として賃金を支払う必要があります。また、自由参加とされていてもその研修に参加しなければ業務に支障が出るような場合は、労働時間とみなされる可能性が高いです。

就業ルールを記載する際の注意点

最後に、就業ルールを記載する際の注意点を紹介します。

出社時間は抽象的な表現を用いることが推奨される

就業ルールにおいて出社時間を記載する際には、抽象的な表現を用いることが推奨されます。

たとえば10分前出勤を明確に規定すると、企業側にその分の賃金や時間外手当を支払う義務が生じます。したがって、全従業員に10分前出勤を義務付ける業務上の必要性がある場合を除いては、本来の始業時刻を10分早めることも検討すべきでしょう。

しかし、業務の円滑な開始を推奨する程度であれば、就業ルールには、出社は始業時刻に速やかに業務を開始できるよう余裕をもって行うものとするといった抽象的な表現を用いることが望ましいです。

このように明確な時間を指定せず、強制力をもたせない表現を使うことで、あくまでも従業員が自発的に少し早めの出社を促す内容とすることが重要です。

就業ルール記載後の運用に関する注意点

また、就業ルールにこのような規定を記載した後の運用にも注意が必要です。

従業員に早めの出社を推奨するルールの設定自体は、とくに違法性はありません。しかし、余裕をもって出社しなかった従業員に対して評価を低くしたり、懲戒処分をしたりすることは避けるべきです。

このような対応を取ると、企業側が始業時刻前の出社を強制しているとみなされ、その時間が労働時間として扱われる可能性があります。さらに、不利益な処分を行わなかったとしても、口頭で注意する際にも同様の配慮が求められます。

まとめ

10分前出勤が勤務時間に含まれるかは、雇用主の指示や業務の強制性に依存します。単に早く出社するだけでは労働時間と見なされませんが、準備や後片付け、手待時間、研修が義務付けられている場合は労働時間として賃金支払いが必要です。また、就業ルールに出社時間を明記する際は、抽象的な表現を用いて強制力をもたせないことが重要です。企業側は、従業員の負担を軽減しつつ円滑な業務開始を促す工夫が求められます。

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