副業や兼業を許可すべき?副業・兼業における勤怠管理とルールについて

公開日:2026/06/15

副業・兼業の勤怠管理とルールについて

副業・兼業は近年の働き方改革の流れの中で急速に普及し、従業員だけではなく企業にとっても重要なテーマです。しかし副業・兼業を許可する場合、適切に運用しなければ労務リスクや健康問題につながる可能性もあります。本記事では、副業・兼業のメリットから勤怠管理の重要性、企業が整備すべきルールを解説します。

従業員の副業・兼業は企業にもメリットがある?

副業・兼業は、従業員個人の収入増加だけではなく、企業側にも多くのメリットをもたらします。厚生労働省のガイドラインでも、有効性が明確に示されています。

副業・兼業のメリット

まず、従業員にとっての最大のメリットは、主体的なキャリア形成が可能になる点です。本業では得られない経験を積むことでスキルの幅が広がり、自己実現にもつながります。また、副収入を得られる点や将来的な起業・転職に向けた準備として活用できる点も大きな魅力です。

一方で企業にとっても、副業・兼業は人材価値を高める重要な施策となります。従業員が社外で新たな知識やスキルを習得することで、社内に新しい視点やノウハウが持ち込まれ、組織全体の競争力向上につながります。また、自律的に行動できる人材の育成にも寄与し、結果として優秀な人材の定着や流出防止にも効果が期待できます。

さらに、従業員が築いた社外ネットワークや情報が新たなビジネス機会の創出につながるケースもあります。このように、副業・兼業は単なる個人の活動にとどまらず、企業価値の向上にも直結する取り組みといえます。

副業・兼業のデメリット

上記のように副業・兼業を認めることはさまざまなメリットをもたらします。しかし無制限に認めることが望ましいわけではありません。

企業は、職務専念義務や秘密保持義務、競業避止義務などの観点から適切な制限を設ける必要があります。もちろん従業員も本職がおろそかになったり、過労の危険性があるため、労働時間には充分注意しなければなりません。

副業・兼業における勤怠管理の重要性

副業・兼業を認めるうえでもっとも重要となるのが、労働時間の適切な管理です。とくに近年は働き方改革の一環として、長時間労働の是正や健康管理の強化が求められており、副業の管理体制が不充分だと企業の法令違反につながる可能性があります。2020年に改定されたガイドラインでは、副業における労働時間の通算ルールが明確化されました。

労働時間の通算ルールは、本業と副業の労働時間を合算して管理するという考え方です。たとえば、本業で6時間、副業で2時間働いた場合、合計8時間として扱われます。通算管理は企業だけではなく、従業員自身の自己申告も前提となっています。

従業員が副業の労働時間を正確に報告し、企業側が労働時間を把握・管理することで、過重労働を防止する仕組みが構築されます。また、時間外労働の上限規制にも注意が必要です。事業場単位ではなく個人単位で適用される以下の基準については、副業分も含めて通算されます。

・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
・複数月平均で80時間以内

これらを超過すると健康障害リスクが高まり、企業としての安全配慮義務違反が問われる可能性があります。ただし、すべての副業が通算対象となるわけではありません。雇用契約にもとづく労働者のみが対象であり、フリーランスや個人事業主としての活動は対象外です。

また、農業や水産業など一部の業種も例外となります。したがって、企業は副業の形態を正確に把握したうえで管理方法を設計する必要があります。

副業・兼業を認める企業が作るべき社内ルールとは

副業・兼業を適切に運用するためには、明確な社内ルールの整備が不可欠です。ルールが曖昧なまま運用すると、労務トラブルや情報漏洩などのリスクが高まります。ここではどのようなルールを設定すればよいのか、具体的な例をご紹介します。

申請制度を設ける

まず重要なのが、副業の申請制度です。従業員が副業を開始する前に、企業へ申請・承認を得る仕組みを設けることで、副業の内容や勤務時間、雇用形態を事前に把握できます。申請制度により、本業への影響や競業リスクの有無を事前に判断できます。

申告ルールを明確にする

次に必要なのが、労働時間の申告ルールの明確化です。副業先での勤務時間を定期的に報告させる仕組みを整えることで、本業と副業の合計労働時間を正確に把握できます。申告方法としては、定期報告やシステム入力などが一般的であり、企業規模や業務内容に応じて最適な方法を選択することが重要です。

勤怠管理方法を整備する

ExcelやICタイムカード、勤怠管理システムといった方法の導入によって、従業員の勤怠管理をかんたんに行えます。副業や兼業といった、複数の働き方に対応できる体制を整えたい場合は、とくに勤怠管理システムの利用がおすすめです。

クラウド型・オンプレミス型などさまざまな種類があり、出退勤管理だけではなく、シフト作成や給与計算との連携もできます。いずれにせよ、自社にあった管理方法で副業・兼業がしやすい環境を整えることが大切です。

まとめ

副業・兼業は、従業員の成長や収入向上だけではなく、企業の競争力強化にもつながる有効な制度です。一方で、労働時間の通算管理や健康配慮、情報管理といった課題にも適切に対応する必要があります。とくに勤怠管理は制度運用の根幹であり、曖昧な管理は法令違反や労務リスクを招きかねません。こうした背景から、副業・兼業を安全かつ効果的に運用するためには、申請制度や申告ルールの整備に加え、正確かつ効率的に管理できる体制づくりが不可欠といえます。

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